囚人のジレンマとは
協力して犯罪を犯した二人が、警察に捕まりました。
警官は、別々に収容され、相談できない二人にこう言いました。
「罪を自白すれば釈放、ただし相方は黙秘すれば懲役10年の罪にする。」
「だが、二人とも自白したらお前達二人とも懲役5年だ。」
「もし、二人とも黙秘したら二人とも懲役1年だ。」
この時、囚人は、相談できず、黙秘(協調)か、自白(裏切り)かで悩んでしまいます。この状況を囚人のジレンマといいます。
個々が好ましいと思い合理的な選択をした結果、全体にとって望ましくない結果になってしまうジレンマです。
事例
1.価格競争
A社、B社が両方とも値下げする場合 → ともに利益90
A社、B社が両方とも値下げしない場合 → ともに利益100
A社、B社の片方だけ値下げした場合 → 値下げした方が利益110
値下げしなかった方が利益70
この場合、両社(A社、B社)値下げして、両社利益が下がってしまう
2.社員の仕事
社員A、社員B社が両方とも働く場合 → ちょっとAが得する(3)
社員Aが働き、B社が働かない場合 → Aだけが得する(3)
社員Aは働かず、社員Bが働く場合 → 社員Bは得する(5)が、
社員Aも少し得する(1)
両方働かない場合 → 利得は0
この場合、社員Aは働き、社員Bは働かなくなってしまう。
どの事例も、個々が合理的な利害を選択すると、全体として好ましくない結果になってしまいます。
最良の戦略
囚人のジレンマのように協調か、裏切りかを迫られる状況で、短期的な利害関係を考えると、裏切りが得してしまうことはあります。
しかし、長期的な関係で、囚人のジレンマのような状況が繰り返される場合、利益が最も多くなる戦略は何か?コンピュータによるシミュレーションが行われました。たとえば、常に協調というカードを切る「善人戦略」や、反対に常に裏切りというカードを切る「悪人戦略」などを何度も対戦させました。
その中で、最も多くの利益を得た戦略は、初回は協調を選択し、2回目以降は前回に相手が出した手と同じ手(裏切りなら裏切り、協調なら協調)を出す、という「しっぺ返し戦略」でした。
つまり、まずは相手を信用し協調する、ただし、裏切りられたら裏切り返す。つまり、正直は最良の策ですが、やられたらやり返すというのが良い戦略だということです。
あとがき
囚人のジレンマについて、記載しました。
人生において、様々なジレンマに遭遇すると思います。
囚人のジレンマは、決して、特別なケースではなく、ビジネスの様々な場面で発生するため、「価格競争」という事例をあげさせていただきました。
他にも、
出世戦略⇒自分は出世したいけど、別の候補は出世したいと思っているか?
M&A ⇒企業を買収するか?売却するか?
など、利害関係者がある中で、様々な意思決定が行われています。
囚人のジレンマで一番ポイントとなるのは、協調を選択するか?裏切りを選択するか?ということです。
協調した場合は、お互いわずかに得をして
裏切りを選択した場合、裏切り者が得をする
仕組みとなっているため、ジレンマが発生します。
裏切り続けたほうが得なのかと言うと、そうではありません。
試行回数を重ねていくと、裏切りばかりを選択しても損をすることになっています。
それでは、一番良い方法はと言うと、
「最初は強調して、裏切られたら、次は裏切りを選択する」しっぺ返し戦略です。
人生は長く、様々な人と出会うことがあると思います。
一番重要なのは、最初に協調を選んだ人は、次は協調。裏切りを選択した人には、次は裏切りというようにすることが、良い戦略ということです。
要するに、ジレンマに悩まずに、一回強調して、いい人なら継続,悪い人なら別れるというのが良いということです。
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