チキンレースとは
別々の車に乗った2人のプレイヤーが、壁に向かって、全速力で走行するゲームです。先にブレーキを踏んだ方が、臆病者(チキン)となりますが、どちらもブレーキを踏まないと壁に激突して死亡します。
2人の当事者が共に強硬な態度をとり続けると、悲劇的な結末を迎えてしまうにも拘らず、プライドが邪魔をして双方共に譲歩できない状況の比喩として使われます。
チキンレースの利得関数は次のようになっています。
チキンレースに巻き込まれそうになったら、お互い降りれば問題ないのですが、負けた方がチキンになり、お互い譲ることができなくなるという悲惨な結果となってしまいます。
そうは言っても、人間には、プライドやメンツがありますから、合理的に考えた場合の利得よりも、目の前のプライドやメンツから、意地の張り合いをしてしまいます。
チキンレースの事例
チキンレースのポイントは、わかっていても降りられなくなり、意地の張り合いをすると最悪の結果になることがポイントです。
例えば、製品開発の現場では、ハード部門とソフト部門があり、両者が製品を開発し、お客様に提供するビジネスがあったとします。
一緒に開発するわけですが、ハード部門、ソフト部門の間で間に合わなかったものが悪者になる「納期のチキンレース」が生まれます。
両部門きっちりと納期に間に合い出荷することで、お客様もビジネス良い状況になるのはわかっていますが、「ハードが遅れている」、「ソフトが遅れている」と各部門長は罵りあいます。
こういう状況の場合、顧客起点で、ハード、ソフトのお互いの開発状況を見える化し、共有することで、製品を出荷することが重要となります。
また品質が悪いものをお客様に提供することもビジネスに影響を及ぼすため、仮にハード、ソフトが間に合わなかったとしても、正しく品質判断した方を出世させるなどで、チキンを選んだとしても、問題ない仕組みにすることが重要となります。
チキンレースでお互い壊れるまで、突き進まないようにしましょう!!
タカハトゲーム
チキンレースの進化系ゲームとして、タカハトゲームというものが存在します。タカハトゲームでは、二人のプレイヤーそれぞれが求めている食料を同時に見つけたと仮定し、双方は攻撃的なタカとして振舞うか、温和なハトとして振舞うかを決定するゲームです。
両方のプレイヤーがタカ戦略を選択した場合、
戦い傷つくために双方の点数はマイナスとなる。
片方がタカ戦略を選択し、もう一方がハト戦略を選択した場合、
タカ戦略が食料を独占するが、ハトは逃げ出すために何も失わない。
両方のプレイヤーがハト戦略を選択した場合、
しばらく威嚇しあった後に資源を対等に分け合います。
タカハト戦略のポイントとしては、ハトばかりの集団にタカがいるとタカが有利になり、タカばかりの集団にハトが進入すれば、ハトは食料を殆ど得られないが、傷つくことはなくハトが有利となります。
つまり、少数派が得をするゲームです。
現実において、すべてに強硬姿勢で臨むことはできません。タカとハト使い分けることが重要となります。チキンレース、タカハトゲームを理解し、意地の張り合いから脱出して行きましょう!!
あとがき
ゲームの理論「チキンレース」と「タカハトゲーム」について解説しました。
チキンレースのような、勝っても負けても得しないようなゲームに参加する人はいないと思うかもしれませんが、
実際は、仕事の上でも協力すればうまくいくところを、意地の張り合いとなり、チキンレースに陥るケースは大いにあります。
また、高度経済成長期の日本では、みんなが同じ、みんな頑張れば成功できる時代でしたので、みんなが攻撃をしあい、勝ったものが生き残る考えだったかもしれませんが、
現代は、低成長時代ですので、人と違う温和なマイノリティでも活躍できる場が存在する時代となっており、タカハトゲームのような状況が起こっているのではないかと思います。
チキンレースとタカハトゲームを学び、状況を判断して、協力ゲームに変え、意地の張り合いから脱出しましょう!!
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